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遅咲きの靴職人

ブーツの底が剥がれたので修理してほしいとのことです。

 

お聞きすると、他店で修理してしてもらったが、わずか2か月で左右共剥がれてきたそうです。

私は修理する前には清潔にしておきたいので、特に靴内部は雑菌や水虫菌などで汚れている可能性がありますので除菌器で処理をしておきたいものです。

予想外でしたが少しの引っ張りで底ラバーは簡単に剥がれてきました。

 

予定外でしたが、コバ革は、少し浮いていましたので剥がすことにしました。

 

爪先部の黒くなった部分の下糸が切れて無くなっています。

底ラバーからコバ革を外した状態です。

 

 てんこ盛りの劣化した接着剤ですね。

本体の甲革底の状態です。

 

劣化した接着剤が随分と残っているように見えますね。

 

おそらくですが、接着をあまり除去しないまま修理で接着された可能性が高いように思われます。

 

劣化した接着剤はしっかり除去して生地に接着しないと思ったより剝がれやすいので重要な工程になります。

劣化した接着剤を除去する方法は色々あります。

 

簡単には研磨した方が早いでしょうが、厚めの接着剤が溶けて工具が使い物にならなくなったりすることもあります。

 

手間は掛かりますが劣化した接着剤を薄く削って生地が露出するまで取り除くのが確実のようです。

 

コバ革の劣化した接着剤のはがしです。

 

なぜか飾り糸部の黒い面は接着が付いていますね。

 

この黒い部分は体裁面なので本来接着剤は付けません?

 

除去しておきます。

コバ革の裏側も劣化した接着剤を除去します。

コバ革の飾り糸の下糸が無くなっていましたが、底面側の黒上糸は残っていました。

 

糸穴の部分に黒い上糸が少し見えています。

上糸が抜けないように下糸で縫って止めて置きます。

 

これで今後は安心ですね。

底とコバ革の除去ができました。

 

端面より20mmほど接着面が確保確保されていればしっかり接着できます。

コバ革を底に接着組立した状態です。

 

これなら接着は問題ないでしょう。

 この圧着機を使うには靴木型を靴に挿入してから機械にセッテイングする必要があります。

 

靴製造では通常の工程になりますが、一般の修理屋さんでは使いません。

 

靴やソール材の種類にもよりますがソール全面に200kg~1000kg圧力を掛けることができます。

 

接着をしてから圧着機でしっかり接着できます。

仕上げにコバ革の黒仕上げ処理をします。(サービスです)

 

甲革は簡単に補修&靴クリームで仕上げしました。

 

これで完了です。